コラム・イベント情報と活動報告
コラム「脳卒中からの回復には摂食嚥下リハビリテーションも大切? 」
東京科学大学の戸原玄教授、山口浩平講師らの研究グループは先月、脳卒中発症後にリハビリテーションを目的として回復期病院に入院した患者を対象に、睡眠検査および嚥下機能評価を行い、睡眠関連呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群を含む)を有する者の割合が高いこと、また睡眠関連呼吸障害の重症度が経口摂取度と関連することを明らかにしたと発表しました。つまり、脳卒中後は睡眠時の無呼吸と食事が普通に摂れなくなる摂食障害が多くの方に認められ、睡眠時の無呼吸が重症な患者ほど摂食障害の度合いも強いとのことです。
睡眠関連呼吸障害は、高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病だけでなく、脳卒中のリスクも高める要因とされています。過去の研究によると、睡眠関連呼吸障害がある場合、脳卒中の発症率が2〜4倍に増加することが報告されています。また、脳卒中後には高い確率で嚥下障害が生じることが知られています。それは、お口と喉の付近の構造が、嚥下(飲み込み)と呼吸の両方に関与しているためで、脳卒中患者においては睡眠関連呼吸障害と嚥下障害には関連があると考えられてはいましたが、回復期病院における脳卒中患者を対象とした調査はこれが初めてということです。
これまで、脳卒中患者に睡眠関連呼吸障害に対する検査を積極的に行い、その発見につなげること自体が稀で、睡眠関連呼吸障害を放置することがその後の不良な転機につながることも可能性としては考えられてきました。一方、歯科医師は回復期病院において日常的に入院患者の口腔内診察や嚥下機能の管理を行っていることから、睡眠関連呼吸障害を発見し、その後の介入につなげられる可能性があります。
今回の調査で、対象の内93.4%に睡眠関連呼吸障害が確認され、食事形態を調整(刻む、柔らかくするなど)する必要があるか、経管栄養が必要な患者に限ると、睡眠関連呼吸障害を有する割合が95.7%に達していたそうです。また、睡眠関連呼吸障害の重症度と経口摂取レベルの関連を検討するため分析を行ったところ、経口摂取が困難な患者ほど呼吸障害が重度なことが明らかになったそうです。
これらの結果から同グループによると、これまで回復期病院では睡眠に注目されることがなかったが、嚥下障害とに睡眠関連呼吸障害の双方の視点から歯科医師が脳卒中患者に関与することで、回復期病院でのリハビリテーション医療への貢献度がさらに高まると考えられる、とのことでした。
イベント情報
香川県歯科医療専門学校一般入試のお知らせ
香川県歯科医師会立香川県歯科医療専門学校では1月26日(日)に一般入試を行います。
詳しくは、香川県歯科医療専門学校ホームページをご覧ください。
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