「損して徳をとれ」


7月29日(火曜日)曇り時々雨・・・いつものようにラジオカーに乗り込みました。
行き先は琴平町の「鳴子屋」こと「岡部木工芸」であります。ご存知の方も多い方と思いますが、ここは、鳴子制作にかけては全国のシェア7割をしめる会社・工房で、高知のよさこい祭りはもちろん、北海道のよさこいソーランをはじめ各地の鳴子がかかせないお祭りではほとんど香川発の鳴子がつかわれているということなのです。
さらに今年
岡部木工芸社では新作として阪神タイガースと契約が成立しこの夏から高知県ほか京阪阪神での販売が開始されるというこでお話を伺いに行ったわけです。2代目の岡部博美さんは、当日もこのタイガース鳴子制作に大忙しで両手は黄色い絵の具がついていました。国産の檜を使い、乾燥・削り・磨き・塗装と全て手作りです。オーダーメイドにも答えてくれるという度量の深さまた、自分だけの鳴子を作りたいという人のために、色・形・の様々な鳴子のパーツがあり好きに選べ組み立てられるコーナーもあります。ひととおり取材と生放送が終了すると創業者(1代目)でこの道45年の岡部猛則さんがにこやかに出てこられて、言われました。「よさこいの歴史はたかだか50年。歴史は阿波踊りにかなわない。でもこれほどよさこいがそして鳴子が全国に普及したのは『損して徳とれ精神』からやな」『損して徳をとる』これが1代目岡部猛則さんの経営哲学でもあります。話によると高知のよさこい祭りには、昭和50年から毎年鳴子を送り、高知市観光協会からは感謝状を送れていますし、第1回の北海道のよさこいソーランにも鳴子を寄贈し道産子達にも鳴子の存在をアピールしたといううのです。その精神は息子の2代目岡部博美さんにも受け継がれ昨年も、祭りぼろぼろの鳴子で踊っていた学生連をみかけたまりかねてその大学へ鳴子を送ったそうです。「無料で鳴子をどんどん出すなんて、ちょっともったいない。」そんな気がするのは私が貧乏性だからでしょうか?「損して徳をとる」の心得の一つは、やみくもにばら撒くのではなく、必要なものに(人に)必要な投資をするというのだそうです。本当に必要としてくれている所に鳴子を送る。だからこそPR効果もあり、広がり、全国からの注文がくるようになる。それとともに岡部木工芸社の鳴子はモノがいい。それは実際、触って鳴らして感じたことです。大小様々な鳴子がありますが、踊りに使う鳴子は、軽く、軽やかな音がします(これは十分に檜を乾燥させないといい音が出ないそうです)。さらに手で持つところの角が丸く削られており何時間踊っても手が痛くなりにくいというといううのです。さすが・・・!
きちんとした技にうらづけられた勝利なんでしょうね。どんなに沢山送ってもモノが悪ければ見向きもされません(この辺りは人間はいたってシビアです)。しかし、苦しい時期もりました。よさこい祭りの地元高知のメーカーは採算がとれず撤退していく中でも、外国からの低価格鳴子が入ってきた中でも、あくまで、手作りにこだわり、多くの団体に鳴子を送りつづけてきたそうです。この情熱があってこそ全国のファンに愛される鳴子だということも感じました。現在、岡部木工芸は家族経営1代目、2代目そして3代目ご夫婦らが支えます。
11本大切に鳴子を作りつづける毎日に眩しさを感じた夏の1日でした。